高速で天の川銀河を移動する白色矮星、崩壊した連星から飛び出した?(sorae 宇宙へのポータルサイト)

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「りゅう座」の方向およそ1400光年先にある「SDSS J1240+6710」は太陽の4割ほどの質量がある白色矮星で、天の川銀河を時速およそ90万km(秒速およそ250km)で移動しています。今回、Boris Gaensicke氏(ウォーリック大学)らの研究グループは、SDSS J1240+6710が部分的な超新星爆発(partial supernova)を起こしたことで連星を飛び出し、高速で移動することになったとする研究結果を発表しました。 太陽のような恒星が赤色巨星を経て進化した姿とされる白色矮星の大半は、おもに水素とヘリウムでできた大気を持つとされています。ところがSDSS J1240+6710の大気には水素とヘリウムが見当たらず、酸素を主体にネオン、マグネシウム、ケイ素が混じった大気を持つことがすでに知られていました。 研究グループが「ハッブル」宇宙望遠鏡による観測データをもとにSDSS J1240+6710の大気組成を分析したところ、上記の元素に加えて炭素、ナトリウム、アルミニウムが検出されたいっぽうで、鉄、ニッケル、クロム、マンガンといった元素はほぼ存在しないことがわかったといいます。 これらの事実をもとに研究グループでは、SDSS J1240+6710はもともと連星を成しており、Ia型超新星に代表されるような核燃焼型の超新星爆発を起こしたものの、前述のようにその爆発は部分的なものだった(ケイ素燃焼の過程までは進まなかった)と考えています。ただし、核燃焼にともない質量の大部分が急激に失われたことで連星のバランスが崩れた結果、SDSS J1240+6710が高速で飛び出すことになったとしています。Gaensicke氏は「それはこれまでに観測されたことがない種類の超新星だったでしょう」と語ります。 また、研究グループによると、Ia型超新星の残光はニッケルの放射性同位体(ニッケル56)の放射性崩壊が源になっているものの、SDSS J1240+6710が起こした爆発ではニッケル56が少量しか生成されなかったとみられることから、同様の爆発は発見するのが難しいだろうとしています。Gaensicke氏は「天の川銀河にある超新星爆発を生き延びた天体を観測することは、別の銀河で観測される数多くの超新星を理解する上で役立ちます」とコメントしています。

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(2020/07/16)