あるエンジニアの死(@IT)

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--- 福岡地方裁判所 平成24年10月11日判決から ITに関する調査、研究、開発、相談などを行う企業(以下、被告企業)においてシステムエンジニアとして勤務していた31歳の社員(以下、社員A)が平成19年4月に致死性不整脈により死亡した。 これについて社員Aの相続人である原告らは、社員Aの死亡は被告企業における業務の過重負荷に起因するものである旨主張し、不法行為に基づく損害賠償請求又は労働契約上の債務不履行に基づく損害賠償請求として、原告1人当たりにつき約4000万円の支払いを求め、訴訟を提起した。 ---  システムエンジニアが過労により体を壊すことや、死に至った事例は筆者も数多く知っている。私がシステムエンジニアとして大手IT企業で働いていた平成初期、エンジニアの残業は100時間から200時間が当たり前だった。令和の時代になっても、多くのエンジニアたちが、厚生労働省が定義する月80時間以上の過労死の残業ラインを超えて働いている。システム開発現場の長時間労働はなかなか改善されず、体を壊すエンジニアはいまだに少なくない。  では、死亡したエンジニアの残業時間はどうだったのだろうか。判決文の中に以下の記載がある。 --- 社員Aの時間外労働時間数 発症1カ月前 21時間00分 発症2カ月前 106時間20分 発症3カ月前 6時間15分 発症4カ月前 0分 発症5カ月前 12時間00分 発症6カ月前 10時間50分 ---  あえて申し上げると、一般的なシステムエンジニアと比べて多過ぎるというほどではない。確かに発症2カ月前の106時間は厚生労働省の示す過労死ラインを上回るが、全体ではそこまでの長時間労働というわけではなかった。  ただし社員Aは、発症の何年も前から健康診断で不整脈があることが分かっており、目まいや立ちくらみ、息切れなどの症状があったようだ(原告らによれば、社員Aがこうした症状を自覚するようになったのは、被告企業で働くようになった後のことであるとして、基礎疾患そのものの責任も被告企業にあると主張している)。疾患を持った状態での残業106時間は、長過ぎるし危険とも考えられる。  しかし社員Aは、それでもシステムエンジニアとして働く意思を見せていた。被告企

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(2020/07/16)