羊毛のような姿の渦巻銀河はどのようにして作られたのか?(sorae 宇宙へのポータルサイト)

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この画像の天体は渦巻銀河「NGC 2775」と呼ばれ、ハッブル宇宙望遠鏡が観測したものです。「渦巻」と言いつつもその「腕」がはっきりとは見られず、短いパーツが集まって全体として渦を巻いているように見えます。ハッブル宇宙望遠鏡のWebサイトでは「羽のような」とも形容されていますが、このような銀河は「羊毛のような」(flocculent)渦巻銀河と名付けられており、過去にもNGC 4237、NGC 2841を紹介してきました。なお、これらと対照的に渦巻の「腕」がはっきりと見えるものを「グランドデザイン渦巻銀河」と呼んで区別します。グランドデザイン渦巻銀河の例としてはNGC 5364があります。 羊毛のような周囲の部分は星形成が最近はそれほど活発ではないことを示しており、逆に内側にある「バルジ」という領域は非常に大きくやや空っぽな状態であることから、現在は中心部での星形成はほとんど行われておらず、はるか昔にすべてのガスが星形成に使われてしまったと考えられています。「羊毛」の部分の星形成が活発ではないとはいえ、全体に広がる青く明るい光は数百万の若い星です。また、青い光の間を走る黒い部分は「ダークレーン」または「ダストレーン」と呼ばれ、その名の通りダストが存在しています。 このような羊毛状の姿はどのようにして作られるのでしょうか?グランドデザイン渦巻銀河に対しては「密度波理論」という理論が提唱されており、NGC 3887を紹介した記事で取り上げました。一方、羊毛状の渦巻銀河を形作る1つの可能性は「重力不安定性」と言われています。重力不安定性とは、物質が重力によって互いに引き付けあってどこかで密度の大きな場所ができるとそこに物質が集まってさらに密度が大きくなり、逆に密度が小さな場所はさらに密度が小さくなっていってしまうというような性質を指します。もう1つの可能性としては、銀河の回転に伴ってガス雲がはぎとられてしまうというものがあるようです。近年でも羊毛状の渦巻銀河の性質についてさまざまな研究が続けられており、コンピューターシミュレーションによって羊毛状の渦巻を再現する試みも行われています。

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(2020/07/16)