宮部みゆき選考委員が講評「候補回数は意識されなかった」 第163回直木賞(産経新聞)

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 第163回直木賞(日本文学振興会主催)は、馳星周さんの『少年と犬』(文芸春秋)に決まった。15日夜、東京都内で選考委員の宮部みゆきさんが会見し、「初回投票から馳作品が高得点で、割とすんなり決まった」と経緯を説明した。  受賞作は、東日本大震災から熊本地震まで、列島を旅する犬と人々との絆を描いた連作短編集。「犬を擬人化せず人間のストーリーとしたのが優れており、余分なところがない作品」と絶賛された。馳さんは候補7回目で、ノワール(裏社会)小説のイメージが強いが「候補回数は意識されなかったし、善人ばかりでない人物像は馳さんでなければ書けない」とされた。  次点は同点2作。戦国武将の松永久秀を主人公にした今村翔吾さんの『じんかん』(講談社)は、「大悪党像を塗り替えようとした野心作」と高く評価されたが、分量や後半が駆け足気味という難点も指摘。岩手県の名産毛織物を題材にした伊吹有喜さんの家族小説『雲を紡ぐ』(文芸春秋)は「万人に自信を持って薦められる点では候補作中で一番」とされつつも、「これが伊吹さんだというフックがない」とされ、惜しくも受賞を逃した。  苦難の中で成長する少女を描く遠田(とおだ)潤子さんの『銀花の蔵』(新潮社)は、ミステリー仕立てが疑問視。能の名曲を下敷きにした澤田瞳子(とうこ)さん『能楽ものがたり 稚児桜(ちござくら)』(淡交社)は、能に興味のない読者への訴求力がないとされ、支持を得られなかった。

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(2020/07/15)