電力供給安定化なるか 「容量市場」で初入札 非効率石炭廃止で重要性増す (産経新聞)

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 中長期的に日本全体で必要となる発電能力を確保するために創設された「容量市場」の初入札が今月行われた。電力の小売りや送電の事業者が発電事業者の4年後の供給力に対して費用を負担する仕組みで、発電事業者は将来の売電収入を見込みやすくなり、将来的な投資を進めることができる。非効率な石炭火力発電の廃止が進めば新規の発電設備の建設が必要となる可能性があり、容量市場で発電事業者の収益の見通しをつけやすくすることの重要性が増している。  容量市場では、市場管理者となる電力広域的運営推進機関(広域機関)がすべての電気事業者の供給計画に基づき、4年後に確保したい供給力と価格の関係を示す需要曲線を提示。発電事業者などが提供予定の発電所などの供給力と価格を示して応札し、契約される供給力と価格が決まる。  入札は毎年1度行われ、初めての実施となる今年は今月1日から7日まで行われた。初入札で調達する令和6年度の供給力の目標量は約1億7747万キロワット。落札量と落札価格は8月下旬に公表される。広域機関は小売り事業者らから拠出金を集め、発電事業者らに支払う。  こうした仕組みが必要になった背景には、平成28年4月の電力小売り全面自由化がある。大手電力はかつては必要なコストに応じて電力料金を決める「総括原価方式」が認められ、発電所への巨額投資を電力料金ですべて回収できた。しかし全面自由化後には発電された電力が卸市場で売買されるようになり、市場価格の変動の結果、得られる収入が見通しづらくなった。  このため大手電力にとって新たな発電所の建設や老朽化設備の建て替えは難しい判断だ。老朽化施設の閉鎖だけが進み、需要に対して供給力が足りなくなれば、電力料金が高い状態が続いてしまう恐れも指摘されている。  また、太陽光や風力といった発電量を安定させにくい再生可能エネルギーの導入が世界的な潮流であることや、非効率な石炭火力のように発電の機会を失う設備が広がる可能性も収益の不透明感を強めている。  こうした問題に対応することを目的とした容量市場は米、英、仏などですでに導入されている。経済産業省・資源エネルギー庁は発電事業者がさらに長期的に投資を進めることができるようにする新たな制度作りも検討している。(飯田耕司)

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(2020/07/13)