映画『MOTHER マザー』:大森立嗣監督が長澤まさみをシングルマザー役に描く「母と息子の歪んだ絆」(nippon.com)

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この事件をヒントに、『宮本から君へ』の脚本を担当した港岳彦がストーリーを起こし、母親・秋子役に長澤まさみ、その内縁の夫役に阿部サダヲ、息子・周平役にはオーディションで選ばれた新人の奥平大兼を起用することで企画が進んでいった。 奇しくも前作『タロウのバカ』のYOSHIと同じ2003年生まれの新人に大役を任せることになった大森監督。撮影に入る3カ月ほど前、奥平に初めて会った印象をこう振り返る。 「テンションが高いYOSHIとは対照的で、奥平くんはいまどきのスマートな子なんですが、ちょっとボソボソしゃべるところがあって、人前に立つことに慣れていないような印象がありました」 演技に不慣れな奥平のために、撮影までに何度か稽古の時間を作り、現場に立てるところまで鍛え上げた。 「正直、大丈夫かなあと不安はありましたけど、逆に言うと、色がついていないところが一番の魅力。現場で感じることを大事にしろと、それだけは言い続けました。撮影が進むにつれて演技が楽しくなってきたと本人も言ってくれて。自分の中から湧き出るものをお芝居にしていく楽しさを知る、それが大事なんですよ。いい経験になったんじゃないかな」 一方、主演の長澤まさみは、大森監督が初めて一緒に仕事をする女優。「奥平くんに精一杯で、そこまで頭が回らなかった」と笑うが、もちろん20年のキャリアを持つ長澤への敬意と信頼があるからだ。監督はカットやスタッフワークなど、限られた撮影時間で効率よく運ぶよう、すべて細かく考えておいてから現場に臨む。いざ現場に入れば、次から次へとスピーディーに撮り進めるスタイルだ。その速さは長澤や阿部にも驚かれたという。 「俳優はロケ場所に初めて行って、最初はどこに立つかすら分からない状態ですよね。テストのときに説明して、彼らは少しずつ探りながら感じてくる。その部分が大事なんです。あとは迷わない。あまり考えていると、時間はどんどん経っちゃうので。何度も撮り直すなんてことはほとんどないです。俳優が感じたものを信頼していますから。俳優さんたちからすると、むしろその信頼が重くて大変かもしれないですね(笑)」 こうして、人物たちの存在感が際立ち、ライブ感に満ちた場面が連なる、大森監督独特の映像世界が生まれる。 「2時間くらいの尺の中で、全体をどう見せていくかということも一応は考えるんですけど、そればかりに

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(2020/07/10)