最期まで寄り添ったおしどり夫婦 早すぎる死に涙 熊本・芦北町(産経新聞)

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 金婚式を控えたおしどり夫婦は、最期の瞬間まで寄り添っていた。熊本県芦北町女島で土砂崩れに巻き込まれ犠牲になった小崎(こさき)清一さん(69)と妻の峰子さん(68)。同居する三女(40)は住民らに助け出されたが、夫婦は懸命の救助もむなしく、帰らぬ人になった。(小松大騎、中井芳野) 【写真】大量の土砂が流れ込んだ小崎清一さんらが暮らしていた自宅  「父と母が土砂に埋まってるみたい。助けに行ってもらえないか」。同町に住む清一さんの弟(66)が、清一さんの長女から連絡を受けたのは4日午前6時前。すぐに自宅を飛び出し、車で清一さん宅に向かったが、道路はすでに冠水。焦る気持ちを抑え、山道を約30分歩いた。  たどり着いた清一さん宅は、変わり果てていた。裏山から大量の土砂が流れ込み、1階部分はぺちゃんこに潰れていた。地元の消防団員らが救助にあたってくれたが5日朝、2人は遺体で見つかった。  警察から確認を求められた2人の遺体は、1階の居間付近で寄り添うような状態で倒れていた。顔は鬱血して別人のようで、全てが信じられなかった。  2階から助け出された三女は姉からの電話で豪雨を知り、両親を起こして1階でテレビをみていた。2階に上がるとき「一緒に行こう」と声を掛けたが、2人は1階に残った。「私はたまたま助かっただけ。痛かっただろうに。もっと親孝行したかった」と悔やむ。  夫婦は三女と3人暮らし。町外に住む長女と次女も、孫を連れて清一さん宅によく遊びに来ていた。清一さんは庭先で孫の野球の練習に付き合い、弟は「兄貴は『孫の野球の試合を応援したい』とうれしそうだった」と話す。  長年、建設会社で現場監督を務め、今年に入って退職したばかりだった清一さん。部下だった池崎友和さん(42)は「仕事熱心で頑固者。九州男児という感じだったけれど、実は下戸で、冗談もよく言う人だった」と振り返る。  峰子さんはいつも家の周りをきれいに掃除し、家庭菜園にも精を出した。近所の女性(82)は峰子さんに頼まれ、庭に植えていた黄色の花の苗を譲った。「きれいか花が咲いたばい」。峰子さんの笑顔が印象に残っている。  連れ添って約半世紀になり、金婚式も控えていた2人。弟は「2人一緒に見つかったことが、せめてもの救い」と話し、涙ぐんだ。  「なんで兄貴が。早すぎるよ」

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(2020/07/09)