逸失利益、定期払いが可能 最高裁初判断 保険実務に影響も(産経新聞)

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 交通事故で重い障害を負わなければ将来得られたはずの収入「逸失(いっしつ)利益」の賠償方法について争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は9日、被害者が求めれば定期的な支払いも認められるとの初判断を示した。定期払いを認めた2審札幌高裁判決が確定した。裁判官全員一致の結論。  保険実務では、介護費用などの定期払いは認められてきたが、逸失利益の支払いは一括払いが根付いている。被害者側の選択肢が増えることになり、今後の支払い実務に影響を与える可能性がある。  定期払いは、67歳まで定期的に支払いを受け、将来の賃金水準や障害の変化に応じて賠償額の見直しを求めることができる。今回の訴訟で被害者側から訴えを起こされた保険会社側は、長期にわたる定期払いは「明らかに過重な負担」などとして一括払いを求めてきた。  これに対し第1小法廷は、一括払いによる逸失利益の算定は「不確実な将来予測を基にせざるを得ない」と指摘。被害者の利益回復を図るという損害賠償制度の目的に照らせば、定期払いを認め、賠償額の見直しをその都度可能にすることが相当だと結論付けた。  1、2審判決によると、原告の男性(17)は4歳の時に北海道内の市道を横断中、大型トラックと衝突。高次脳機能障害で働くことができないと診断された。両親は「子供の一生を考えると一括払いでは不安」として定期払いを求め、札幌地裁は事故がなければ労働できた18~67歳までの49年間、毎月約35万円の定期払いを保険会社側に命令。札幌高裁も地裁の判断を支持していた。  最高裁判決を受け、両親は「仮に将来、医学の進歩で働けるようになったら賠償金が打ち切りになるのは構わないが、全く働けない状況で生きていく場合、一括払いの額では不安が大きかった。定期払いが認められてよかった」とコメント。保険会社側は「被害者の選択肢が増えたと認識している。判決内容を精査し、適切に対応していく」としている。  日本大の藤村和夫教授(民法)の話「今回の最高裁判決が、裁判実務や保険実務など各方面に与える影響は小さくない。これまでにも定期払いを望む被害者は一定数いた。最高裁が定期払いを容認したことで、将来的に逐次現実化する損害であり、被害者側の生活再建に資するという、逸失利益本来の意義が改めて示された」

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(2020/07/09)