【コラム】「先制」と「集中」の戦い方が天才的にうまい指揮官シメオネ(SOCCER DIGEST Web)

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 戦力的に劣るチームが、優れたチームと互角以上の勝負に持ち込むには、「先制」と「集中」が基本になるだろう。  日露戦争の遼陽会戦では、日本は13万の兵力で23万のロシアに挑んでいる。日本は先手を取って、夜襲攻撃で相手の虚を突いた。これによって、動揺を生じさせ、ロシアの防御線を後退させている。その後は激しい反撃に遭い、兵力を失うも、陣地では密集して守り抜いた。さらに遊軍を迂回させ、相手の後方を断つ戦いによって、警戒したロシアをさらに退かせたのである。 「守るだけでは必ずやられる」  サッカーで、それは一つの定石である。  守ることは基本だが、攻め手を必ず確保しておかねばならない。先制し、相手の虚を突き、陣を下げ、反撃に耐え、再び虚をつく。それを繰り返すしかない。機動力と耐久力の勝負に持ち込むのだ。  もっとも、この戦いは消耗も激しい。奇襲となるカウンターで相手を脅かすには、まずはそれだけの走力が必要だろう。そして、逆襲を食らった時に1対1で持ち場を守れるか。全体の防御線を下げ過ぎず、お互いで突破されそうな戦線を補う必要もある。走る量は必然的に増え、体力的な疲弊を余儀なくされる。繰り返しているうち、反撃に及べなくなると、一気に押し込まれ、総崩れになる。  アトレティコ・マドリードのディエゴ・シメオネ監督は、「先制」と「集中」の戦い方が天才的にうまい指揮官だろう。相手を脅かしつつも、屈強なだけでなく弾力のある防御線に誘い込み、打撃を与えられる。チャレンジ&カバーを繰り返し、危機を回避し、ボールを取り切る。今シーズンのチャンピオンズ・リーグ、ラウンド・オブ16、欧州王者リバプール戦はその最たるものだ。  この戦いで決着をつけるには、ストライカーが欠かせないだろう。  遼陽会戦、日本はロシアを撤退させ、遼陽城に入っただけに、陣取りでは勝利したと言える。しかし、ロシアよりも多い2万3000人もの死傷者を出し、損耗率はロシアの倍近かった。傷だらけの勝利だったと言える。  この一戦をサッカーに置き換えると、これを試合の前半とした場合、いくら相手を押し込んでも、後半には苦しい戦いになる。後半になって足が止まり、上回る戦力で攻め込まれたら、受け身一方になるだろう。やはり、相手の急所をつける、打撃力のある選手が必要になるのだ。  日本では、南アフリカ・ワールドカップ

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(2020/07/08)