高齢施設で相次ぐ災害被害 「千寿園」の悲劇で課題浮き彫り(産経新聞)

【リンク先抜粋】
 九州南部を襲った豪雨では熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」で入所者14人が逃げ遅れ、6日、死亡が確認された。豪雨などの自然災害では特養などの高齢者施設の被害が相次いでいるが、こうした施設は必ずしも安全な場所に立地しているわけではないといい、専門家は「避難が困難な高齢者の福祉施設の立地を見直す必要がある」と警鐘を鳴らしている。 【写真】「家の一部が流された」大量の泥水が住宅地に  「千寿園」ではスタッフが地域住民と一緒に2階に上げるなどした51人は無事だったが、犠牲になった14人は、避難が間に合わなかったとみられる。  高齢者施設が、豪雨に見舞われた際に入居者が犠牲になるケースはこれまでも繰り返されてきた。平成21年7月の中国地方の豪雨では、山口県防府市の特養が土砂災害にあい、入所者7人が死亡。28年8月に台風10号が襲った岩手県岩泉町では、認知症グループホームが浸水被害を受け、入所者9人が亡くなった。  岩泉町での被害を受け、政府は災害の危険がある施設に避難確保計画策定を義務付けたが、国土交通省によると、昨年3月時点で計画を策定していたのは6万7901施設のうち約36%。千寿園では策定していたものの、熊本県は策定が全国で一番遅れており、策定済は同月時点で1439施設のうち42施設にとどまる。  一方、高齢化社会が進み、高齢者用の施設などは都市計画上、一般住宅では許可されない場所でも建設が許可されてきた経緯がある。東京都立大の中林一樹名誉教授(都市防災)は「コストの問題もあり、高齢者施設の立地は必ずしも安全な場所とはかぎらない」と指摘する。  福祉防災に詳しい跡見学園女子大学の鍵屋一教授は「今回の災害を避けるのは極めて困難だった。政府も対策を始めたが、新規の福祉施設はより安全な場所に限るなど高齢化に合わせて拡大してきた立地政策を改めるべきだ」としている。

続きはこちら

(2020/07/06)