ニュースが報じない気候危機と人種差別の関係。(VOGUE JAPAN)
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だから、わたしのような非白人にとって、気候変動はすでに現実世界の日常的な懸念なのだ。さらにいえば、深刻な干ばつや洪水の影響を受けたり、ハリケーンやサイクロンで自宅が損壊したりする可能性が高いのは、いつだって非白人だ。
ではどうすれば多くの人に、人種と気候が密接な関係にあるとわかってもらえるのだろう? 非白人の人々の肌感覚ほどに実感がわかないにしても、なぜ数多くのニュースの見出しから、この切迫した状況が伝わらないのだろう?
2019年6月から2020年3月にかけてオーストラリアで大規模な森林火災が発生したとき、世界中で多くの人々が激しい憤りを露わにした。だが、この火災によってオーストラリア先住民がどんな影響を受けたかを知っている人は多くない。
パンデミック渦中の5月に発生したサイクロン「アンファン」が、バングラデシュとインドで少なくとも98人の命を奪い、数百万人の家を破壊したときも、世界はそれほど注目しなかった。残念ながら欧米メディアは、いまだ非白人の命より白人の命を重視し続けているというほかない。
黒人や南米系の人々、先住民族が気候危機の影響を受けた例は、枚挙にいとまがない。
アフリカ南部では深刻な干ばつが発生し、数百万人が食糧不足に苦しんだ。アメリカ・ルイジアナ州の「がん多発地帯」では、多くの黒人住人たちがコミュニティ内外の工場が排出した有毒化学物質の影響で、命を落としている。
南米アマゾンでは、この土地の熱帯雨林を守っていた先住民の指導者、パウロ・パウリーノ・グアジャジャラらが、森林伐採業者に虐殺された。アメリカやカナダでは、政府が住民の健康や食の主権を脅かすリスクを顧みず、先住民の土地を通過する原油のパイプライン計画を許可した。なお、この開発に反対するアメリカの抗議活動では、参加者が負傷する例も出ている。
世界に蔓延る環境的人種差別。
アメリカでは、新型コロナウイルス感染症による死亡率が、黒人とヒスパニック系の人々の間で顕著に高いことが確認されている。イギリスの黒人およびマイノリティのコミュニティでも、同様の調査結果が出ている。最も周縁化された地域での大気汚染が、貧困層や非白人の入院率と死亡率を高めている可能性もある。
また環境的人種差別、つまり有害廃棄物処理施設などの環境汚染源や大気汚染といった環境問題を、非白人コミュニティが住む地域に押し