対中制裁に慎重な政府…効果と反作用にらむ 香港国家安全法(産経新聞)

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 政府は「香港国家安全維持法」(国安法)を導入した中国に対し、1989年の天安門事件と同様の「遺憾」という強い表現で批判している。今後の香港情勢次第では表現をさらに強める可能性もあるが、天安門事件で行ったような対中制裁には極めて慎重だ。  「香港における国家安全維持法の制定は遺憾であり、わが国の立場は中国側に繰り返し伝えている」  菅義偉官房長官は3日の記者会見で、政府の姿勢をこう説明した。  政府はこれまで、中国が国安法制定の手続きを進めるにつれ、批判のトーンも段階的に引き上げてきた。中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)が国安法の新設を決めた5月28日には、外務報道官談話で「深く憂慮している」と表明。日本が主導した6月18日の先進7カ国(G7)外相声明では「重大な懸念」を強調した。  全人代常務委員会が国安法を成立させた6月30日には、茂木敏充外相が談話で「遺憾の意」を表明した。外交上の「遺憾」は、懸念よりも強い表現とされる。  中国当局が民主化を求める学生らを武力鎮圧した1989年6月4日の天安門事件の発生後、日本政府は同日中に「憂慮に堪えない」との外務報道官談話を発表。さらに塩川正十郎官房長官(当時)が翌5日、「遺憾の意」を表明した。政府は今回の国安法を「虐殺だった天安門事件と違う」(外務省幹部)と捉えているが、それでも表現は同じ「遺憾」を使い、強い態度を示している。  政府は天安門事件当時、中国への円借款を凍結する経済制裁を科したが、今回は同じように制裁を講じるのは容易ではない。中国の名目国内総生産(GDP)の規模は日本の約2・8倍(2018年)に膨らみ、日本にとって中国は最大の貿易相手国となったからだ。  菅氏は今月3日の記者会見で、今後の政府の対応について「予断をもって述べることは控える」と述べるにとどめた。外務省幹部は、制裁を科した場合の中国の対抗措置も念頭に、「日本が傷つかない制裁は難しい」とさえ語る。(原川貴郎)

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(2020/07/04)