ハンセン病元患者 コロナ差別「また同じ過ちを繰り返している」 生活不安、人を排他的に【NEXT特捜隊】(@S[アットエス] by 静岡新聞SBS)

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 行き先は、東海地方唯一の国立施設「国立駿河療養所」。近くの集落から林の中を通って箱根外輪山の中腹にある施設に向かった。  取材に応じてくれたのは、入所者の自治会「駿河会」会長の小鹿美佐雄さん(78)。この数カ月間、報道を通じて新型コロナ患者への差別を耳にしたという。施設利用拒否、家や車への投石…。家族や医療従事者への差別的行為を含め「また同じ過ちを繰り返している」と憤る。差別を受けると「家に住めなくなり、生活が壊れてしまう可能性もある」と危惧する。  現在は完治するハンセン病だが、かつては治らない病気とされた。風評被害が原因の新型コロナ差別と異なり、当時のハンセン病患者は誤った認識に基づく国の施策によって強制的に隔離され、家族も差別を受けた。小鹿さんは7歳で入所し、以来70年余、施設で暮らしてきた。患者と分かるとバスや電車の乗車を拒否され、商店で物を売ってもらえない。偏見に耐えかねて、夜逃げや一家心中した家族もいた。  国は2001年、ハンセン病の隔離政策を誤りと認め、元患者に謝罪。その後、元患者の家族への補償制度も設けた。だが、差別によって負った傷は深く、今なお実名を明かさず、過去を語ろうとしない元患者は少なくない。小鹿さんも自身の過去については「話したくない」と口をつぐんだ。「思い出したくない」とも。「記憶が残り続けたらつらい。だから忘れる。私の場合は自然に忘れていく」。毅然(きぜん)とした口調で語った。  “コロナ差別”の要因は何か。小鹿さんは経済活動の自粛などにより生活が困窮し、排他的になる人が増えたからだと考える。「国は生活支援を手厚くし、弱い者が安心できる社会にしなければ。心に余裕ができれば、人の立場を考えることができる」  国内初の療養施設として開院し、現存する唯一の民間療養施設「神山復生病院」も訪ねた。新型コロナ対策で元患者との面会はかなわなかったが、敷地内の復生記念館の学芸員森下裕子さん(54)が取材に応じてくれた。森下さんは「新型コロナは治療法が確立されておらず、ワクチンもない。感染に対する恐怖心が募り、差別が生まれるのでは」と分析した。  <メモ1>NPO法人ハンセン病療養所世界遺産登録推進協議会はこのほど、新型コロナウイルス感染症の「患者さんや関係者に対する差別は決してあってはならない」と呼び掛けるメッセージをウェブサイトで公表

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(2020/06/27)