天才詐欺師対日本政府 日本に本格コンノベル登場の予感(ニュースソクラ)

【リンク先抜粋】
 大手銀行の支店長から経済小説家に転身を遂げた江上剛氏がまた新たな地平を切り開いた。3月末に初版から文庫で出版された書下ろし小説『トロイの木馬』がそれだ。新しいというのは、詐欺師という常識的には社会の敵が主人公のコンノベル(詐欺師小説)だからだ。  詐欺師グループが福島第一原発からでた放射性廃棄物、汚染水や汚染土などを中国の砂漠に埋めようという壮大なウソで詐欺師グループが日本政府を手玉にとる話だ。首相や官房長官、自民への鞍替えを狙う野党国会議員、内閣情報室の遣り手たちと、現実の人物がモデルとして想定される舞台仕立てになっている。  森友学園の籠池氏がモデルとしか思えない学校法人経営者や安倍首相の昭恵夫人とおぼしき人物も登場し、現政権へのアイロニーとしてもしゃれた仕立てになっている。日本の政治・経済・社会問題への皮肉が利いた小説と言える。  ビクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル』だってフランス革命という壮大な現実を舞台に、人間の煩悩や理性の葛藤を描いた。現実を仮想の舞台に作り替えるのは、小説の王道だ。  特に、詐欺師という日本ではとうていよいイメージを持たれないキャラクターを主人公に据えたことが画期的。  いまの安倍政権は誰がみても嘘としか思えないことも、嘘と証明できなければ嘘にはならないという手法で危機を乗り切ってきた。それを見てきているから、むしろ詐欺とういう大きな嘘をついて小さな嘘つき達をからかう手法は、さわやかだ。  社会全体に閉塞感が強まる日本にとって、痛快なキャラを生み出したと言えるだろう。そういえば、江上氏はやはり社会悪と言われる総会屋を主人公に据えた小説もあり、あまのじゃくな設定が得意な小説家なのだろう。  難点を言えば、海外コンノベルの王道である最後の最後のどんでん返しが欲しかったところ。結末はやや予想の範囲内であることは少し物足りない。金の亡者や権力者がこけにされる痛快さはやはり、大逆転劇のなかにこそあるように思える。  ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが主演した「スティング」、リメイクでジュージ・クルーニーやブラッド・ピットなどが主演した「オーシャンズ11」など、コンノベルは映画化されてもヒット作が多い。  どうか小説をシリーズ化しながら、ストーリーや登場人物たちのキャラに磨きをかけ、すごい小説群になってゆくことを期

続きはこちら

(2020/06/27)