小林圭──こんなことでは負けられません【GQ JAPAN連載特集:希望へ、伝言】(GQ JAPAN)

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日常は激変しました。いまはほとんど家の中で過ごしています。僕は料理人間なので1日の半分以上は料理本を眺めていますね。パソコンを使って情報収集したり、本を見たりしながら「こういう風に作ったほうがいいのかな」と考えています。料理本は食材、発酵、科学などあらゆるタイプの専門書を熟読しながら、自分にないものを勉強しています。 フランスの3ツ星シェフは誰もが強いインパクトを持っています。例えばアラン・パサールは世界で最初に低温料理を提唱しました。その後、“肉の魔術師”と呼ばれるほど、完璧な火入れの肉料理に打ち込んだ後、自分の菜園を作って野菜料理を強化していきました。アラン・デュカスはオリーブオイルを駆使して、フランスの高級料理を作っていきました。今年、3ツ星を獲得したラ・ロシェルの「クリストファー・クルタンソー」は、大西洋沿いの港町ならではの特産物で独創的な料理を生み出しています。その点、僕はパリのシェフであり、パリという都会にいる強さといえば世界中から食材が入ってくること。それに僕自身が、ある意味ダブル・ナショナリティーでいるような気がします。最良のものが手に入る中での選択肢がある。コスモポリタンなパリという都会で、いまのフランス料理を探ること、これが僕の課題です。いまは42歳ですが、21歳で日本を離れたので、フランス生活の方が長くなってきています。2つの文化を融合できる強みがある。この有り余る時間を利用して、どの部分を強化できるのか考えたいです。 これを機会に料理の方程式は崩さずに、考えを一新する。新たに組み立て直そうと思っています。食器、食材、料理を作るプロセス、サービスの仕方も、感性を含めて、これまで以上にレベルアップしたいからです。これまでの料理の方向性──「材料に負担をかけずに、元の材料よりもさらに美味しくする」──は、ある程度、決まっているのですが、だからこそパリにある、さらに美味しいものを目指したい。素材ひとつひとつを考えて世界一のお皿を作っていきたいです。そのためには、いまの時間を利用して、いろんな人の考え方を吸収したい。人の考えをコピーするのではなくて、いろいろな考え方を知る必要があると思うからです。世界の料理に思いを巡らせると、僕は10%も知らないと思うんです。フランス料理をとっても20%くらいしか知らない。あとの80%は勉強していなかければならない

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(2020/06/27)