脱北者団体がビラ散布強行 緊張高まる南北（産経新聞）
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【ソウル＝桜井紀雄】朝鮮戦争勃発７０年の２５日前後に、北朝鮮体制を批判するビラを北朝鮮に向けて散布すると予告していた韓国の脱北者団体「自由北朝鮮運動連合」は２３日、ビラ５０万枚を２２日深夜に大型風船で飛ばしたと明らかにした。団体が飛ばした風船の一部が韓国内で見つかった。
北朝鮮は脱北者による金正恩（キム・ジョンウン）朝鮮労働党委員長を非難するビラの散布に反発。開城（ケソン）の南北共同連絡事務所を１６日に爆破するなど、報復姿勢を強めてきた。
韓国の文在寅（ムン・ジェイン）政権は、ビラ散布を徹底的に取り締まる方針を繰り返し示し、警察が軍事境界線に近い地域の警備を強化。団体の朴相学（パク・サンハク）代表をマークしてきたが、団体は別のメンバー数人が実行したとしており、不意を突かれた形だ。
韓国統一省は、北朝鮮側に届いたビラはなく、団体が発表を誇張した疑いがあるとの見方を示した。団体側の動きを警戒してはいたが、決行自体を許したことで、北朝鮮がさらなる報復措置に出る事態も予想され、２５日に向けて一層緊張が高まりそうだ。
団体は、ソウル北方の京畿道坡州（キョンギドパジュ）からビラのほか、一ドル紙幣２千枚やメモリーカード千個をくくりつけた大型風船２０個を飛ばしたとし、飛ばした場面だとする映像を公開。ビラには正恩氏や妹の金与正（ヨジョン）党第１副部長、祖父の金日成（イルソン）主席の写真とともに朝鮮戦争を念頭に「民族の殺戮（さつりく）者」と記された。風船の一部は、坡州から東南に約７０キロの江原道洪川（カンウォンドホンチョン）の野山で発見された。
