米中対立激化の行方を読む(上): もはやイデオロギー闘争の様相(nippon.com)

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川島 新型肺炎の感染の拡大の中でさらに話題になっている「米中対立」と言われているものを、どのようにとらえているか。 佐橋 現在は、米中関係にとっての「大きな転機」だと考える。まずは少しさかのぼって考えてみたい。米国の中国政策は2018年前半に大きく変わった。17年末に国家安全保障戦略が出て「中国との競争」が打ち出された。18年3月には米通商代表部(USTR)の調査が出たり、中国に対する関税の付与が始まった。何よりも大きかったのが、8月にいわゆる「マケイン法」(国防権限法2019)が出来て、現在行われているような中国に対する輸出管理・投資規制の枠組みが出来たり、「孔子学院」が問題視されたりした。10月には、ハドソン研究所でのペンス副大統領の「対中強硬論」演説があった。 この中で最も大事なのは、マケイン法の成立だろう。これでさまざまな政策的な対応の基礎ができた。貿易摩擦などの経済的な問題意識だけでなく、「米国の覇権維持」という戦略目標がついに政策化されたと言える。 さて、このように18年から米中対立は続き、19年もその勢いが維持されていたわけだが、20年3月から始まった米中関係の悪化、または米国の強硬姿勢というのは、明らかにもう一つの転機になっていると考える。端的に言えば、イデオロギーの対立が、ついに前面に出てきた。貿易摩擦などの経済外交、安全保障や技術覇権競争などの「戦略的」な対中政策に覆いかぶさるように、この数カ月はイデオロギー対立が対中政策を支配している。今までとは全く違った様相になっている。そういった中でウイグルや香港の問題が位置づけられ、議会や政府内の強硬論が形成されるようになったと考えている。 川島 そうすると、中国を「戦略的競争相手(strategic competitor)」だととらえる見方も変わってくると思うか。 佐橋 いや、そうではなくて、「戦略的競争相手」としての中国というものをさらにアピールできる素地を、このイデオロギー対立という面がつくっている。現在の米国の政治状況はそのようなものであると考えている。だから、ウイグルも香港も個別の問題ではなく、中国とのイデオロギー対立というより大きな文脈で認識されることになる。今回の中国の新型コロナウイルス対応についても、悪いのは「共産党体制」だと攻撃している。 貿易摩擦の問題では両国は「取り引き」

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(2020/06/23)