トイレの水流でエアロゾルが発生、コロナ感染リスクも、研究(ナショナル ジオグラフィック日本版)

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 今回の研究で王氏のチームは、便器中で水の乱流が作り出す極小の飛沫(エアロゾル)が、空気中に最大で床から1m強の高さまで放出されることを、コンピューターモデルを使って示した。便器の中に勢いよく流れ込んだ水が、反対側の壁に強く当たって渦ができる。この渦が、便器中の水のみならず空気までをも押し上げる。  王氏らのシミュレーションによれば、こうして形成されるエアロゾルは1分余り空気中に残ることがわかった。また、トイレが頻繁に使われるほど、水が流れる勢いは強くなるという。  結局、新型コロナウイルスの感染者が使ったあとのトイレに入るとどうなるのか? それは、ウイルスがヒトの便の中で感染力を保つのかという点にかかっているが、これに関してはまだ決着がついておらず、盛んに調査が進められている。  2012年に感染が広まった別のコロナウイルス感染症、中東呼吸器症候群(MERS)の場合は、ウイルスがヒトの消化管の中でも感染力を保つケースがあることが研究で示されている。ということは、仲間である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の場合も同じかもしれない。  インフルエンザウイルスやコロナウイルスは、薄い膜で包まれていることから「エンベロープ型ウイルス」と呼ばれる。食中毒の原因になるノロウイルスと異なり、エンベロープ型ウイルスは酸や界面活性剤によって簡単に破壊することができる。つまり、胃液や胆汁などの成分で壊れやすいはずなのだ。では、なぜ感染力を保てるのだろうか?  インフルエンザウイルスの研究に基づく仮説の1つは、感染者の唾液や痰、鼻汁などの粘液が、消化管を移動するウイルスを守った場合、ウイルスは感染力を保つ可能性があるというものだ。ならば次は、ウイルスがどのくらいの時間、便中で感染力を保つのかを知りたくなる。米ライス大学の分子疫学者E・スーザン・アミリアン氏が言うには、これもまた、さらなる研究が必要な分野だ。 「便を介した感染がありうるとしても、主な感染経路であるとは考えづらいです」。アミリアン氏はメールでの取材にそう答える。CDCが糞口感染のリスク評価で引用した論文よると、感染者の便からは新型コロナウイルスの壊れたゲノムの断片しか見つからなかったという。つまり、ウイルスは消化管内にいたものの、すでに破壊され、新たに感染を引き起こすことはできない状態だったということ

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(2020/06/23)