コロナ後を拓く思想。宇沢弘文と中村哲から継承すべきもの<佐々木実氏>(HARBOR BUSINESS Online)

【リンク先抜粋】
―― 新型コロナウイルスの感染拡大によって、医療現場で働く人々や、荷物を届けてくれる配達員などがいかに大切な存在であるかが改めて実感できました。彼らの仕事は、佐々木さんが著書『資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界』(講談社)で論じている、宇沢弘文の唱えた「社会的共通資本」と重なる部分があると思います。 佐々木実氏(以下、佐々木):少し話がそれるようですが、宇沢弘文(1928―2014)の評伝『資本主義と闘った男』が第6回城山三郎賞を受賞したことに不思議な縁を感じました。というのは、第1回受賞者が中村哲氏だったからです。受賞作『天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い』(NHK出版)は、医師である中村氏がアフガニスタンでの30年の復興支援活動を振り返った自伝です。医療活動でアフガニスタンを支援していた中村氏が、なぜ医療活動を中断し、井戸を掘ったり農業用の用水路を拓くようになったのか。その歩みが綴られています。 ―― 医師の中村哲と経済学者の宇沢弘文にどういう「縁」があったのですか。 佐々木:『天、共に在り』を最初に読んだとき、驚きを覚えました。宇沢が唱えた「社会的共通資本(Social Common Capital)」とあまりに通じ合うものがあったからです。中村さんがジャララバードで何者かに襲撃されて亡くなったとの報を聞いたあと、以前にNHKで放映された中村氏のドキュメンタリー番組「武器ではなく、命の水を」を見直し、やはり「社会的共通資本」の思想そのものではないかと感じた。  番組の中で中村医師が説明していました。食糧生産があがらないから、栄養失調になる。水が汚いから、下痢なんかで簡単に子供が死んでいく。いまは100人の医師を連れてくるより、農業用水路を一本つくるほうが価値が高いと考え、白衣を脱ぐ決意をし、用水路の建設を始めたと。私なりに言い換えると、アフガニスタンでまさに社会的共通資本を再構築していたということです。活動地域は米軍による報復攻撃にも遭いますが、根本問題は旱魃被害でした。再び人々が暮らせるようになるには、医療よりも農業という社会的共通資本の再建が重要だと判断し、中村さんは医師から建築作業者へと変身したわけです。

続きはこちら

(2020/06/23)