[新型コロナ] コロナ禍で販売不振、凶作… 伝統 ジュンサイ ゆらぐ 「飯食えねくなる」 秋田県三種町(日本農業新聞)

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 新型コロナウイルスの影響が、秋田県特産のジュンサイに大きな打撃を与えている。国内生産量の9割を占める同県三種町では、主な出荷先である首都圏の飲食店や旅館からの注文が激減。ただでさえ、春先の低温で収量は平年の半分にとどまるだけに、販売不振と凶作の二重苦に苦しむ。ツルツルとした食感で、初夏の味として親しまれ万葉集にもうたわれる“伝統の食材”が揺らいでいる。(高内杏奈)  「本当にまいった。もう飯食えねくなる」  半世紀近く生産する北林辰男さん(73)は顔をゆがめる。畳1枚ほどの箱舟を1本のさおで操り、湖面を覆う若葉をかきわけながら、腕を入れて若芽を摘み取る。北林さんの左手は、長年竿を操ってきたことで慢性的な腱鞘(けんしょう)炎だ。「水に手入れたら空手で戻るな」。何度も師匠に言われた。「離農を考える農家もいて、万葉集にもうたわれるジュンサイの長い歴史が揺らいでいる。ジュンサイに命かけてきた。これからどうなっちまうんだ」。不安で震えるこぶしを握りしめた。  収穫は5月下旬から6月中旬がピークで、8月まで続く。19年は降雨が少なく、水不足で生産量が低迷した。今年は懸念していた暖冬による水不足は持ちこたえたが、春先の低温が響き、生育が遅れた。同町を管内に持つJA秋田やまもとジュンサイ流通加工施設の担当者によると、例年なら1日1・5トンの集荷があるところ、生育が遅れたことで小ぶりなものが多く、1トンも満たない。  JAは収穫した7割を飲食店などの業者に出荷し、うち8割は首都圏だ。それらの注文は5月はほぼゼロ、22日時点では例年の2分の1と少ない。自粛解除で飲食店が徐々に再開しているが、客足は思うように戻らず、影響は長期にわたるとみる。JAが農家に払う支払価格も今年は平年の半値近くにとどまっている。買い取り価格は集荷量が増えるにつれて引き下げるが、既に例年の最低価格に達した。  同町のジュンサイ農家は190戸(19年度)。ピーク時の1991年と比べ、約7割減となっている。JA生産部会の主軸となる年齢層は70歳超えだ。JAは「離農する農家が増え、紡いできた伝統の味が消えることが一番怖い」という。  町は今年度1キロ当たり40円としていた出荷助成金に、30円上乗せする方針を出した。農林課は「ジュンサイは町の基幹産業。収穫体験など観光事業としても重きを置いている」とし「離農

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(2020/06/23)