【緊急レポート】カンボジアと「新型コロナウイルス」小さな国の大きな賭け(ダイヤモンド・ザイ)
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今年2月、中国・武漢で初めて確認された新型コロナウイルスの感染が中国で猛威を奮っていたころ、カンボジアのフン・セン首相のある行動が、世界を驚かせた。
国際会議で韓国を訪れたフン・セン首相が、「都市封鎖されている武漢を訪れて、帰国できずにいる現地のカンボジア人留学生を励ましたい」と、言いだしたのだ。その願いは中国当局に却下されたが、首相は2月5日、中国・北京を訪れて習近平国家主席、李克強首相らと会談した。
中国側は、フン・セン首相を「新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから初めて中国を訪れた要人」として手厚くもてなした。フン・セン首相も、中国側が用意したマスクすら着けず握手をし、武漢から戻ったばかりという幹部とも会談する様子が報じられた。
カンボジアでは、首相の中国訪問に先立つ1月27日、初めての感染者が確認されていた。武漢から、カンボジア南部シアヌークビルを訪れた60歳の中国人男性だった。ただ、男性から感染が広がることはなく、2月10日には完治した。
このころフン・セン首相は、国民に新型コロナウイルスを過度に恐れないように、と呼びかけていた。報道によると、1月末の演説で「本当の病はソーシャルメディアに流れる誤った情報に基づく恐怖心だ」と述べ、自分はマスクをつけない姿勢を貫いた。
カンボジアは日本以上に、「忖度」と「同調圧力」の強い社会である。1月末から2月にかけて、国内感染者1名のみ、という状態が続くと、首相の発言を聞いたかのように街からマスク姿が消えた。マスクを着けないことが政府の方針ととらえ、反政府だといわれないようにマスクをはずしていた人もいたようだ。
新型コロナウイルスについてさまざまなことが明らかになった今から思えば、何もかもが間違った行動である。それでも幸運なことにカンボジア国内で感染は広がらず、フン・セン首相の自信は深まった。