ボイジャー以来のトリトン観測を目指す探査計画候補「トライデント」(sorae 宇宙へのポータルサイト)

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1989年8月にNASAの惑星探査機「ボイジャー2号」が唯一のフライバイ探査を行った海王星の衛星トリトンは、謎の多い天体です。トリトンには窒素を主成分とした大気や電離層が存在しており、ボイジャー2号が撮影した表面の画像には地下から物質が噴出したとみられる痕跡も捉えられていました。また、その軌道は海王星の自転に逆行する右回りであることから、トリトンは海王星の重力に捉えられたエッジワース・カイパーベルト天体が起源ではないかとも考えられています。 トライデントはトリトンのフライバイ探査を目的としたミッションで、主な目標は3つあります。1つ目は、太陽系の天体がいかにして生命を育み得る環境を獲得するに至るかの解明です。土星の衛星エンケラドゥスや木星の衛星エウロパのように、トリトンも氷の地殻の下に海が存在するのではないかと考えられています。ただ、もしもトリトンが海王星の重力に捉えられたエッジワース・カイパーベルト天体であるならば、地下の海は海王星に捕獲された後で発達した可能性があります。最初から衛星として誕生したとみられるエンケラドゥスやエウロパとは異なる経緯をたどったかもしれないトリトンを調べることで、地下の海の形成についての新たな知見が得られると期待されています。 2つ目は表面の広範囲な観測です。ボイジャー2号は南極域を中心としたトリトン表面の4割ほどを撮影していますが、トライデントでは残るエリアのほとんどを撮影します。また、海王星の反射光に照らされたトリトンの夜側を撮影することで、ボイジャー2号が観測した1989年以降の変化を捉えることも予定されています。 3つ目はトリトンの表面が若さを保っている理由の解明です。トリトン表面の年齢は1000万歳程度と地質学的には非常に若く、噴出物の痕跡以外にもメロンの表皮のような地形や壁のように切り立つ崖に囲まれた平原といった特徴がみられます。このようなトリトンの表面がどのように形成されているのかを探ることで、氷を主体とした他の天体の地形がどのように形成されるのかを解き明かすことにつながると期待されています。

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(2020/06/20)