「人種差別と同じように生まれる嫌悪感や迫害を、LGBTQ+の人に向けていないだろうか」──今ビリー・ポーターが問題提起する隠れた差別思想。(VOGUE JAPAN)
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ミュージカル『キンキーブーツ』(2013年)でトニー賞を受賞し、ドラマ『POSE』(2019年)ではエミー賞に輝いた俳優のビリー・ポーター。ゲイであることを公表しているビリーは、マイノリティーの権利を訴える活動家としても有名だ。
昨年行われた第73回トニー賞のレッドカーペットでは、中絶禁止法への反対を支持する「子宮ドレス」を披露し、話題を独占した。過去の授賞式でも「社会が求めるマスキュリニティ(男性らしさ)に変革をもたらしたい」との想いから、力強いメッセージが込められた奇抜なジェンダーレスファッションで人々を魅了してきた。
今、「ジョージ・フロイド事件」をきっかけに、抗議活動が世界各国で広がりをみせる中、今月5日にビリーは#blacklivesmatterや#blacktranslivesmatterのタグとともに、「私からアメリカへのメッセージ」と題した16分半のメッセージ動画をインスタグラムに投稿した。
ビリーが動画を通して伝えたのは、アメリカの根深い人種差別の歴史に終止符を打つためのメッセージだけでなく、LGBTQ+である人々の人権を訴える切実な内容だった。
「家から一歩外に出ると、我々は黒人であるがために命を狙われる危険にさらされます。さらに、ジェンダークィアだとそのリスクは倍増します。私たちは、心に抱える痛みと恐怖心を周りに決して気づかれぬよう、日々萎縮しながら生きています」
今、なぜビリーがこうした悲痛な思いを発信するのか。それは今月1日に、トランスジェンダーの黒人女性であるイヤンナ・ディオールが大勢のシスジェンダー男性らから集団暴行を受ける動画が、またたく間に世界に拡散したからだ。この事件を受けてビリーが最も問題提起したかったのは、暴行を受けるイヤンナを目撃していたにも関わらず、黒人男性たちが誰も彼女を助けようとしなかったというLGBTQ+に対する悲しい差別と偏見だった。
「社会とLGBTQ+の関係性は、いまも悲惨な状況です。黒人の仲間たちよ、ぜひ聞いて下さい。人種差別と同じように生まれる嫌悪感や迫害を、LGBTQ+である私たちに向けていては、今あなたたちが求めている『法の下の平等』は実現しません。LGBTQ+の黒人も、同じ黒人です。私たちの命も大切なのです。ホモフォビア(同性愛嫌悪者)の兄弟たちよ、黒人の人権を訴える以前に、自分の中にある