インド、軍衝突で中国へ反発強まる 「配慮外交」に変化も(産経新聞)

【リンク先抜粋】
 【シンガポール=森浩】インド北部カシミール地方の係争地で中国軍とインド軍が衝突した問題で、インド軍は16日夜、自軍の死者が20人に達したと発表した。摩擦を抱えつつ決定的な対立を避けてきた中印両国だが、45年ぶりに死者が出たことでインド国内では中国への反発が広がりそうだ。全方位外交を志向し、中国に一定の配慮を見せてきたモディ政権だが外交姿勢の転換を迫られる可能性がある。  インド軍によると、衝突はラダック地方のガルワン渓谷付近で15日夜に発生し、数時間続いた。現場は標高が高く、新たに死亡が確認された17人は衝突で重傷を負った後、氷点下の気温にさらされたことで死に至ったようだ。  インドメディアは中国側も43人が死傷したと報じている。双方は棒や石で攻撃し合い、銃器は使用されなかったという。  中印は、1962年の中印国境紛争以降、事実上の国境線である実効支配線(LAC)付近で散発的に小競り合いを起こしてきたが、決定的な対立には至らなかった。特にインドが、中印国境紛争での敗北の記憶や軍事インフラの整備の遅れで、抑制的に行動してきた面がある。  近年では2017年夏、中印、ブータンが国境を接するドクラム地区で中印両軍がにらみ合ったが、大規模な衝突は起きなかった。18年4月にはモディ首相が中国・武漢で習近平国家主席と会談し、関係改善をアピール。モディ首相は、日米が提唱する「自由で開かれたインド太平洋」構想に賛同しつつ、対中関係も重視する姿勢を見せた。  今回の衝突でも中印ともに「対話による解決を目指す」と強調している。「だが、歴史的に対峙(たいじ)と対話を繰り返してきた関係が変化する可能性がある」と話すのは、中印関係に詳しい印ジンダル・グローバル大のスリパルナ・パサク准教授だ。インド国内で反中感情がより高まれば、モディ政権としては強い姿勢を示す必要が出てくる。既に中国製品ボイコットの動きが広がっており、17日には首都ニューデリーの中国大使館周辺で衝突に抗議するデモが発生した。  インドは今月に入り、オーストラリアと安全保障面で複数の協定を締結するなど、中国を牽制(けんせい)する構えを見せる。パサク氏は「インドは今、拡大する中国に対抗するため、外交的な支援を必要としている。今後は日米豪との連携が深まっていくだろう」と話している。

続きはこちら

(2020/06/17)