ブガッティ幻のセダン「EB112」が辿った数奇な運命とは?(GQ JAPAN)

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日本のブガッティ・エンスージアストの中には「1994年4月3日」という日付をご記憶の向きもあるかもしれない。これは新生ブガッティのオープニングセレモニーが、東京・六本木のアークヒルズを舞台に賑々しくおこなわれた日であるからだ。 アークヒルズの「カラヤン広場」には、数十台に及ぶヒストリック・ブガッティと、当時わが国に初上陸を果たしたばかりの4台のEB110にくわえて、3月のジュネーヴ・ショーで発表されたばかりのEB112が登場し、堂々のお披露目となった。しかも新生ブガッティの会長、ロマーノ・アルティオーリ夫妻を迎えて、皇居や国会議事堂周辺をはじめとする一般道を舞台に、パレード・ランまで敢行したのだ。 EB112は、この時期ようやく生産スタートにこぎつけたEB110とおなじく、開祖エットレ・ブガッティの生誕112周年(当時)にちなんだ名称のプレステージ・サルーン。そして、栄光のブランドネームに相応しい世界最高のクルマ創りを目指していたブガッティは、スーパーカーに匹敵する内容を盛り込もうとしていた。 量産セダンとしては、2020年現在に至っても依然として例を見ないカーボンファイバー製モノコックにアルミ合金+コンポジット製パネルを組み合わせたボディを持ち、そのスタイリングは、ブガッティ社とは当初から密接な関係を築いていたイタルデザイン‐ジウジアーロ社が手掛けたものだった。イタルデザインは、アルティオーリ氏によるブガッティ復活プロジェクトが立ち上がった直後の1990年に、「ID90」なるコンセプトスタディを自主製作している。 そしてジョルジェット・ジウジアーロ氏の手がけたクーペ調のスタイルは、1930年代のブガッティが遺した傑作たちのモチーフを色濃く受け継いでいた。 たとえば、ファストバックのプロポーションや、ルーフにはじまり、リアウィンドウを二分割して貫いてテールに至る一条の峰は、「T57Sクーペ・アトランティーク」を強く意識していたほか、おなじくT57に設定された「ガリビエール」や試作車「T64」など、往年のブガッティが創った4ドアサルーンのモチーフも存分に活かされた。 一方、パワーユニットは、3.5リッターV12・60バルブのEB110用エンジンを、ボア×ストロークともに延ばし、総排気量を5994.7ccにまで拡大した。ただしEB110の特徴の一つである4基

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(2020/06/15)