「外圧」に押し切られた関電 ガバナンス改革の実効性課題(産経新聞)

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 金品受領問題の発覚以降、ガバナンス(企業統治)不全に陥っていた関西電力は、歴代会長や社長らを提訴することで改革をアピールする。しかし、提訴を判断した同社監査役は、旧経営陣の責任を認定した調査委員会や、株主代表訴訟も辞さない姿勢の大阪市など「外圧」に押し切られた格好だ。関電は社外取締役の権限を強化する会社組織に移行するが、ガバナンス改革の実効性が問われるのはこれからだ。  提訴のきっかけは、昨年11月にあった一部株主からの取締役らに損害賠償を求める提訴請求。今年4月には減額された役員報酬の一部が秘密裏に補填(ほてん)されていたことを受けて再び請求があり、関電監査役は提訴に踏み切った。  ただ、すでに外堀は埋められていた。監査役が設置した「取締役責任調査委員会」は今月8日、金品受領問題を取締役会で協議するなど適切な対応をしていれば深刻な信用失墜を回避できた可能性を指摘。筆頭株主である大阪市の松井一郎市長も「隠(いん)蔽(ぺい)体質やおごりに対し、メスが入った」と述べ、株主代表訴訟を辞さない姿勢を示していた。  監査役自体、金品受領問題の発覚前に事態を隠蔽しようとした経営陣の判断を「おおむね妥当」と追認したため、問題発覚後に厳しい批判を浴びてきた。それだけに調査委から取締役らの責任が明確に認定された以上、提訴を回避する選択肢はなかった。監査役の一人は「監査役の判断は機械的なものだ」と説明した。  ガバナンス不全を指摘された関電は、25日の株主総会を経て監査役会設置会社から社外取締役の権限が強い「指名委員会等設置会社」に移行する。森本孝社長は「外部の目線を取り入れたガバナンスの構築が重要な課題」と強調していた。  金品受領問題では社外取締役に情報共有されず、関電内部で事態は秘匿され続けた。松本祥尚・関西大会計専門職大学院研究科長は「形だけを変えても意味がない。専属のスタッフをつけて情報提供を徹底するなど、社外取締役が『お飾り』にならない仕組みが必要だ」と指摘する。  しかし、提訴の発表で記者会見は開かれず、「難しい判断」(関電幹部)を説明する場に森本社長ら現経営陣は姿を見せなかった。「訴訟に影響を及ぼす可能性があるため」というのが理由だが、ガバナンスやコンプライアンス(法令順守)重視の姿勢は、早くも疑問符が付く形となった。(岡本祐大)

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(2020/06/15)