白黒映画なのに豊かな色彩を感じさせる。名作『ピクニック』は、日常を見つめ直すいまこそ観たい一本。(Pen Online)

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緊急事態宣言も明け、新しい日常を取り戻しつつありますが、映画館はまだまだ厳しい状況が続いています。そんななか、日本の独立系配給会社が立ち上げたのが「Help! The 映画配給会社プロジェクト」。その一環として、オンライン映画館のアップリンク・クラウドから数々の名作や国際映画祭の受賞作、近年の話題作など充実のラインナップを配信する「配給会社別 見放題配信パック」がスタートしています。今回はこのなかから、クレストインターナショナル配給の『ピクニック』を紹介します。 【映画情報詳細】『ピクニック』 『ピクニック』は画家のピエール=オーギュスト・ルノワールの息子、ジャン・ルノワールが監督した中編。1936年に撮影されたプリントはドイツ軍に破棄されましたが、映画の保存、修復などを担うシネマテーク・フランセーズによってオリジナルネガが救出され、46年にパリで公開されるという道を辿りました。クレストインターナショナルからは2015年にデジタルリマスター版が配給されています。 パリから田舎へ、ピクニックにやって来た一家。まばゆい太陽のもとで風に木々がざわめく気持ちのいい天気の日、一家はブランコを漕ぎ、草の上の昼食を楽しんで幸せな時間を過ごします。胸いっぱいに広がる多幸感の一方で官能の在り処にまだ気づいていない娘がサクランボの木のそばで口にするのは、「なんだか優しさがこみあげてきて、草や水や木にも愛を感じるの。かすかな快い欲望が湧いてくるの。何かが胸にこみあげてきて、泣きたいような気持ち」という言葉。父と未来の娘婿は釣りに出かけ、母と娘はそれぞれに地元の青年が漕ぐボートで、すーっと川面を滑るように進んでいきます。 うぐいすの鳴き声、青年に抱かれて流れる涙。ぐんぐんと雲が動き出し、やがて川面に落ちる雨粒。『ピクニック』はひとりの娘が経験した若き日の幸福と別れ、そしてその先までをも、わずか40分の中に描き出しました。白黒映画ながら、草の匂いや美しい光など豊かな色彩を感じられ、80年以上の時を経ても日々の美しさは変わらないことを教えてくれます。ステイ・ホームによって日常を見つめ直すいまこそ、改めて観たい名作です。

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(2020/06/15)