レクサスGS販売終了! 今だからこそ“最近のイイクルマ”を思い起こす──心に残っているクルマ達 2019-2020 Vol.5(GQ JAPAN)

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そんなGSとアウトバーンが一体どう関係あるのかと思われたかもしれない。実は個人的な話なのだが、私は2012年春に、ミュンヘン空港を起点に開催されたヨーロッパのジャーナリスト向けに行なわれた試乗会に参加して、生まれたばかりのGSでアウトバーンを走っていたのである。先に日本で試して感心した走りを、彼の地でも試してみたい、と、そう考えて自分で手配して渡航し、無理を言ってクルマを1台あてがってもらったのである。 目的地はオーストリアのスキーリゾートであるキッツビュール。行程は2日間で約440kmあったと記憶している。国際試乗会としても長めの設定からは開発陣の「しっかり走って評価してほしい」という熱意が感じられたものだ。 今も鮮烈な記憶が残っているのがアウトバーンでの走りである。95号線の速度無制限区間に入り、アクセルをいっそう深く踏み込むと、V型6気筒3.5リッターエンジンと電気モーターを組み合わせたパワー・ユニットは、かつてのハイブリッドのイメージとはまるで異なる心地よい伸び感を発揮し、分厚く途切れることのないトルクで速度をみるみる押し上げていき、リミッターの働く250km/hまでクルマを軽やかに導いた。 この時の操縦安定性の高さにも打ち震えた。おそらく優れた空力性能に拠る部分も大きかったのだろう。感覚的には100km/hを超える辺りから、車体を路面に押し付けるだけでなく、左右から空気の壁で挟み込んで直進性を高まるかのような感覚をハッキリと体感できたのだ。 250km/hという日本では試せない速度域、しかも瞬間的にではなく、それをずっと維持し続けられる過酷な環境でこそ知ることができた真の実力。「これはジャーマン・プレミアムカーにも負けていない。いや、あるいは……」と、肌で感じたのは大きな歓びだった。 このGS以降、レクサス車のデザインが何かの模倣ではない独自の個性を磨き上げながら今に至っていることは皆さんもご存知の通り。そして走りの面でも、時間はかかっているけれども着実に実力を高めてきている。本当なら、そうした積み上げの結果としての次のGSを見てみたかったところだけに、退場のニュースは寂しい。 ちなみに当時のGSでチーフエンジニア補佐を務め、試乗の際に現地で対応してくださったのは佐藤恒治氏。現レクサスインターナショナルのプレジデントである。自ら手がけたクルマだ

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(2020/06/14)