メジャー志向の日本人選手も逃げ出しそうな米球団の懐事情(日刊ゲンダイDIGITAL)
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【MLBスカウトの“逆襲”】
アメリカのアマ選手たちは、ボチボチ、動き出している。外出禁止の州はともかく、オハイオやモンタナではリトルリーグの選手や高校生が試合を始めた。
が、我々スカウトは依然として活動を止められたまま。それは韓国や台湾や日本にいるスカウトたちも同様だ。台湾や韓国はすでにプロリーグが始まったし、日本のプロ野球も19日にスタートする。無観客のプロ野球も、7月中には観客を入れるプランがあるらしい。とはいえ、現時点でメジャースカウトは活動自体が禁止されているのだから、当分、自分たちの目で選手をチェックするのは不可能だ。少なくともメジャーのレギュラーシーズンが始まるまでは、この状態が続くのではないか。
スカウトが動けば、交通費や宿泊費などさまざまなカネがかかる。コロナ禍で収入減にあえぐメジャー球団にしてみれば、経費は極力抑えたい。我々の活動がいまだ解禁されない大きな理由は、経費節減だと聞いた。
スカウト活動が解禁されたところで、今年のオフ、FAやポスティングシステムを利用してメジャー挑戦したいと考えている日本人選手には確実にしわ寄せがいく。
■さらなるカネと時間の浪費
大きな声では言えないが、各球団のGMやフロント幹部は、ほんの一握りの人間を除いて日本におくスカウトの目を信用していない。大金が必要な選手になればなるほど、ほとんどの球団が米国にいる幹部を日本に派遣、選手を直接、チェックするだけでなく、性格面まで詳しく調査する。莫大な費用がかかるうえに、入国制限があって日本でスムーズに動ける保証はどこにもない。ただでさえ収入減でダメージを受けているのに、さらなるカネと時間を浪費する可能性があるのだ。
メジャーはデータ全盛だ。プロ、アマ問わず選手の能力を数値化し、数字によって獲得するかどうかを判断する球団が増えた。安く買いたたける選手はそれでいいのかもしれないが、ダルや田中クラスの選手はそうもいかない。今年で言えばオフのポスティングがウワサされる巨人の菅野やソフトバンクの千賀(27)らがそうだ。彼らを獲得するには実績だけでなく、細かい故障歴や性格面の調査も必要になる。財政面で大きなダメージを受け、財布の紐を締めるのに必死なメジャー球団に“大きな先行投資”をする余裕はないと思うのだ。
(メジャーリーグ覆面スカウト)