「文化とは他者と一緒にいること」ダルデンヌ兄弟、カンヌ受賞の新作とコロナ禍の生活語る(映画.com)

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 ベルギーの名匠ダルデンヌ兄弟が、過激な宗教思想にのめりこみ、教師を殺害しようと試みた少年の姿を描き、2019年のカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した人間ドラマ「その手に触れるまで」が6月12日公開される。これまで、同映画祭で2度のパルムドール、脚本賞、グランプリを受賞してきたダルデンヌ兄弟が、思春期の少年の不安定な心の動きを見事にとらえた本作と、コロナ禍での生活を語った。 ――異文化を受け入れることに慣れていない日本人にも大きなヒントを与えてくれる映画です。 リュック・ダルデンヌ(以下、L) 私たちはこの映画を汚れや不浄に対する称賛のような映画にしたいと思っていました。汚れとは人生だからです。文化が違っても、いろんな人と出会って、敵とみなさないことの大切さを描きたかった。不浄だと思っていたものを受け入れることから、自分の知らない文化を受け入れる、そんな平和の映画にしたかったのです。 ――これまでの作品でも、頑なな主人公を描いていますが、今作ほど、状況の変化が難しい主人公は珍しいのではないでしょうか。 ジャン=ピエール・ダルデンヌ(以下、JP) この作品では、狂信化したアメッドを多くの人が説得しようとするがうまくいきません。これまで手掛けてきた他の作品では人と出会うことで苦境から抜け出すことが可能だったのですが、今回は成功しないのです。アメッドは心だけでなく、身体全体が支配されている。宗教は身体を支配するのです。「女性は不浄である」「こうしないといけない」「動物に触らない」といったドグマに縛られたアメッドの身体が映画の中心にあります。 L 狂信とは麻薬のようなもので依存性があります。彼はラストシーンでようやく人生を取り戻します。「狂信」は難しい主題で、簡単ではありません。真剣に受け止めて製作しました。 JP イマーム(導師)はテロで人を殺し、殉教した従兄を「ヒーロー」だとアメッドに刷り込んでいます。企画の初期段階では17歳くらいの少年を設定していましたが、企画を進めるにつれ、その年齢では脱狂信化できないのではないか、と考えるようになりました。その年齢の子は変われないと思ったのです。でも、13歳の子供から思春期にかけて成長途中の子供であれば、人生の誘惑、純潔の理想から離れられるのではないかと思いました。 ――主人公のように過激な思想に染まった少年をリサーチ

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(2020/06/11)