レ軍サイン盗みは「クロ」断定 MLB本気で浮き彫りになった日本球界の無力(日刊ゲンダイDIGITAL)
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サイン盗みに関する「疑惑」はやっぱり「クロ」だった。
大リーグ機構(MLB)のマンフレッド・コミッショナーは22日、レッドソックスに対して今年のドラフト2巡目の指名権剥奪と、映像担当者1人を職務停止にする処分を科した。
処分の対象になったのは2018年シーズンのスパイ行為。走者が二塁にいるときに、禁止されている方法でサイン盗みをしていたと断定した。
当時のコーラ監督やコーチ、大半の選手が映像担当者の行為を知り得ていたという証拠は見つからなかったというが、だから選手は関知していなかったということにはならない。映像担当者が単独でリスクを犯すとは思えないからだ。
17年のワールドシリーズ覇者・アストロズのサイン盗みが露見。そのアストロズでベンチコーチをしていたコーラ監督率いる18年のレッドソックスも「クロ」だった。
各球団がデータを重視し、数学者や物理学者、心理学者らを雇って戦略を練るようになった。メジャーの戦略は、すでに行き着くところまで行ったといわれる。そんな中で結果を出そうと思ったら、アンタッチャブルな部分に踏み込む以外にないということか。
「サイン盗み? 強いチームほどやっている」とは元メジャーリーガーの証言だ。
GMや監督のクビが飛んだうえに莫大な罰金まで食らったアストロズに比べて処分が軽過ぎるという声はあるにせよ、MLBは今回、当時のレッドソックスでプレーした選手を含む60人以上を調査。関係者のビデオや写真に加え、メールまで徹底的に調べたという。
インチキはやるが、ひとたび事件や問題が生じるとFBIのOBまで動員して白黒ハッキリさせるMLBに対して、日本の日本野球機構(NPB)は無力だ。
かつてのダイエー(現ソフトバンク)のサイン盗み疑惑にしても、調査委員会を設置したのは当事者であるダイエー。コミッショナーが指揮して徹底的に調査したとは言い難い。ドラフトの裏金問題やFA選手へのタンパリングにしても、コミッショナーに白黒をつけようという強靱な意思や調査力があるとは思えない。それどころか「視線はカネも力もある一部球団を向いている」といわれた時期すらあった。
今回の米コミッショナー裁定により、改めて日米の差が露呈したのだ。