理想の打順を「1番から9番までイチロー」と答えた意外な真意【名将・野村克也 ボヤキの内幕】(日刊ゲンダイDIGITAL)

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【名将・野村克也 ボヤキの内幕】#7 「王になあ、みんな持ってかれた。本塁打、打点でしょ。おれの記録なくなっちゃった」  通算打撃成績を、5歳下の後輩・王に抜かれた。そのことを話すのに悔しそうではなかった。しょうがないよと、あきらめた口調で反発心などみじんも感じさせなかった。打撃成績に関しては、あきらめのつくほど数字の差は大きく、敗北感をおぼえるレベルにはなかったようだった。  王貞治の人間性や真摯な態度に好感を持っていた。長嶋茂雄とは違うタイプだった。巨人を去った野球人というので、監督としてライバル心を持つ相手でもなかった。  むしろ、監督としてはオレのほうが上と、それは実績も証明していることで、この優越感が打撃成績の敗北感を凌駕していたと思う。それは、野球観の違いを聞いたとき、はっきり知らされた。  王監督は理想のオーダーを聞かれて言った。 「そりゃあ、全員ホームランバッターがいいよ。1番から9番まで」  ホームランの魅力については、「一打で1点でしょ。効率いいよね。ホームラン打ってベース一周するでしょ。相手、だれも動けないんだよね。あれはいい気分だったね」と、素直に朗らかに言う。  この発言について、野村監督に質問した。王さんとは違いますか? 即座に答えが返ってきた。 「そうかな。オレやったらイチローがいいな。1番から9番まで」  ノーヒットで1点取るのが一番いい、というのが監督の考えだった。  先頭打者が四球で出塁する。盗塁してバントで三進。犠牲フライで1点取る。これはID野球でなく、頭の問題でもなく、「気持ち」の問題なのだという。 「そうやって1点取るとベンチが盛り上がる。出塁した選手、バントした選手、盗塁するのに相手バッテリーの癖を知って、サインを出したベースコーチ、犠牲フライ打った選手。ミーティングで直前のデータを取ってきたスコアラー。みんなが貢献するんやから、喜び分かち合って、チームに一体感が生まれる。勝とう、いう気になるやろ」  オーダーについて、野村監督は「4番が決まれば、あとは枝葉だ」と、極論したことがある。打線の軸になるのは強打者。ホームランバッターであればベストなのに違いない。しかし、野球で勝つためには、全員の力が必要。当たり前の話だが、野村監督はこれを徹底して、結果を出した。  通算打撃成績を抜かれても、監督

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(2020/02/21)