「努力・根性・勝利」とは真逆の「70年代の気分」を描いた安部慎一という天才(GetNavi web)

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安部の作品にはストーリーに起伏がない。どちらかというと、その作品に流れる空気を感じるタイプ。盛り上がるところもないし、明確なオチもない。ふわっと始まりふわっと終わる感じなのだ。当時活躍していたつげ義春や鈴木翁二、林静一などもそんな作風だった。 ただ、逆にそれがリアルに感じる。人が生きている上で、それほどドラマチックなことなんて訪れない。そんな毎日の生活のなかにある、小さなドラマを安部の視点で切り取った。そんな感じだ。 僕だけかもしれないが、そういう作品ほど何度も何度も読み返してしまうことが多い。「努力根性勝利」とは真逆な世界が、僕には向いているようだ。 ハッピーエンドもバッドエンドもない。たまに起きるちょっとしたイベントと、毎日続いていく日常。夢と絶望が交差した若者の鬱屈とした気持ち。そういうものは、時代を超えて共有できるのだろう。おそらく、今から20年後も30年後も、『美代子阿佐ヶ谷気分』を読み返して同じことを思うのだろう。 【書籍紹介】 美代子阿佐ヶ谷気分 著者:安部慎一 発行:ワイズ出版 70年代前半、鈴木翁二、古川益三らと共に当時『ガロ』の作家として人気を博した”アベシン“の初期傑作短編作品集。

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(2019/09/22)