2012年、イチローが日本開幕戦で、一言も肉声を残さなかった深い理由。(Number Web)
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2000年の渡米前から、2019年春の引退直後のロングインタビューまで。
この20年で180回以上渡米し、100時間以上、イチローとの1対1のインタビューに臨んできたスポーツライター・石田雄太さんの集大成といえる一冊『イチロー・インタビューズ 激闘の軌跡 2000-2019』が現在発売中だ。収録された38編の珠玉のインタビューから、今回は2012年、日本で開催されたメジャーリーグ開幕戦の直後の肉声をお届けする。
2019年3月、引退を決めた試合から7年前、イチローは「日本でプレーするのはこれが最後かもしれない」という覚悟を持って、東京ドームでの開幕戦に臨んでいた。しかし日本滞在中、会見などでは一言も発することなく、シアトルへ戻った。
石田氏だから聞くことのできた、イチローの真意が語られる……。【秘蔵写真】マンガを超えたイチローの超絶技巧と、マリナーズとWBCでの栄光の日々はこちら。 とうとう最後まで、直に肉声を届けることはなかった。イチローは、開幕前の記者会見も、練習後のテレビカメラによる取材も、開幕戦が終わったあとのヒーローインタビューも一切、受けることはなかった。彼は日本のファンの前で、一言も言葉を発していない。
にもかかわらず、いったいなぜ彼の想いはこれほどまでにファンのもとへ届いたという実感があるのだろう。日本でのイチローのプレーは、じつに雄弁だった。
喝采の中、打席に立つ。
バットを高々と掲げる。
360度からのフラッシュを浴びる。
彼の立ち居振る舞い、そのすべてがメッセージだった。日本人は、イチローのプレーを見て、そのメッセージを感じ取ろうとした。
開幕戦に勝った瞬間、イチローはグラブをポンと叩き、ライトスタンドを指差した。それは、シアトルでは見た覚えのない仕草だった。試合後、『シアトルではなかなかないと思うけど……』と問いかけた瞬間、イチローは、なかなか、という言葉に反応して、すかさずこう言った。