【新社長 我かく闘う】リョーユーパン・安部武彦氏(64) 商品開発、地場の強み生かす(産経新聞)
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リョーユーパンの社長に4月就任した安部武彦氏が10日、産経新聞の取材に応じ、魅力ある商品開発など、収益力向上へ意欲を語った。製パン業界は物流コストの上昇が課題となっており、他社との共同輸送を推進し、効率化に努める考えを示した。
東南アジアでは、日本のパンの人気が高まっています。フィリピンやマレーシアでの製パン工場は、現地のニーズを受けて設けました。所得水準も上がっており、投資対象として良い国と評価しています。
ただ、収益に貢献するには、少なくとも5年かかる。海外投資は将来を見据えた事業です。
九州を基盤とする会社として第一に、九州の人に受け入れられる商品開発を進める。
メーカーは新商品を出すことが使命。「こんな商品があれば」というニーズを具現化するのが、私たちの仕事です。
わが社は、年間300種類もの新商品を生み出しています。私は、その開発に長く関わってきました。社長になっても商品開発への思いは変わりません。
いまだに商品アイデアを、他の社員にダメ出しされることもあります。社員同士の厳しい目が、開発に生きている。
全国展開する製パン会社との競争は厳しい。ですが、地元産の素材を使った商品の提供や、小売店へのきめ細かい対応など、地場企業の強みを発揮したい。
最近は、安全に食べられるのに廃棄される「食品ロス」も大きな問題となっています。消費期限を延ばしてもおいしく食べられる商品作りにも取り組みます。
業界全体の課題として、物流コストの上昇があります。2年前に比べ2割も上がった。収益の大きなマイナス要素です。このままではパンを届けられなくなる、という危機感すら抱きます。
輸送の効率化に、同じ製パン会社との共同輸送を進めています。ただ、大幅なコストダウンは難しく、生産コストを含め、全社的に経費の見直しに着手する。スリム化、合理化を進め、次の世代に残る会社組織にしなければならない。
さまざまな情報や危機感を社員と共有し、同じ目標に向かう形をつくりたいと思っています。
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【プロフィル】安部武彦
あべ・たけひこ 昭和30年、大分県杵築市出身。昭和54年にリョーユーパングループ入社。熊本工場長や、取締役製品開発部長、品質管理部長などを経て、今年4月1日に社長に就任した。趣味は木工や登山。